2018年5月16日 第1回

「うまく演じられない」ときと場所と人を並べる

 山田企画第一回目、この企画は演劇人が集って自分たちの抱える困難や固有の経験について、「研究」を行い、発表・共有する活動です。

 本企画の内容と意義についての詳細は、本サイトのaboutにまとめてありますので、ぜひそちらもご覧ください。

 今回は、自己紹介とともに、ちょっと当事者研究を体験してみようということで、「うまく演じられないとき」の当事者研究をしてみました。

 

 参加者全員が何らかの形で演劇に携わっていますが、「ちょっと時間を持て余したとき、暇じゃないふりをしたり街に溶け込もうとするとき」「人と話すときに余裕があるようにしてしまうとき」「初対面で人と話すとき」や「コミュニティーによってなりたい自分が違うとき」など演劇の枠にとらわれない、日常生活において「演じるとき」の体験をざっくばらんに共有しました。

そこから自分の体験と切り離して、「うまく演じられない」とはどういうことなのか、ホワイトボードに書き出したエピソードや情報から考えていった結果、自分のできることと、できないこと、やりたいことの範囲を明確にして、自分がそのうちの今どこにいる状態なのか、どうすれば「うまく」演じる範囲に近づけていけるのか、それを認識することが第一歩なのでは?と気づいたところでタイムアップ。

 

 「うまく」できないことに対して、人は多かれ少なかれある程度のコンプレックスを持っています。そのコンプレックスを共有するということは、下手をすると傷口の舐め合いと言いますか、生産性を欠いた場となることが多いかと思います。しかし、ここが当事者研究の面白いところだと、今回初めて当事者研究をして感じました。「研究」をするには自身の体験を、細胞や物質のような研究材料(観察対象)として客観的に見る必要があります。自分の「うまく演じられない」を、他の人の体験と等しく文字化してホワイトボードに並べると、自分から切り離して、どういう状況なのか、どうすればいいのか、が見えてきたり、見ようとする姿勢が出てきたりします。普通に「うまく」できない体験をそのままにしておくと、「うまく」できない自分が積み重なっていくだけですが、その体験を対象化すると、ケース(事例)が積み重なっていきます。そのケースを積み重ねていくことは、どこかで自分を楽にしたり、どこかで面白いことにつながったりするのではないかと、思います。

 

〜山田企画・問題意識共有メモ〜

・現実と虚構のバランス、その付き合い方について

・観劇において、物語を素直に楽しむには?

・なぜ演劇をやっているのか

・対話のポストドラマ演劇をつくる

・演劇の未来・多様性について